朝日新聞2014年7月13日05時00分
作家・佐藤優さん(54歳)
安倍政権がこのタイミングで憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使容認に踏み込む理由がわからない。あえてロシア、中国、韓国を刺激することによる領土交渉などへの悪影響を軽視すべきではない。
公明党の山口那津男代表の記者会見と照らして閣議決定の内容を読み直すと、むしろ、集団的自衛権の行使による自衛隊出動は遠のいたと私はみている。
「集団的自衛権」という名前にこだわる首相の顔を立てながらも、公明党側は実をとった。個別であれ、集団であれ、「自衛のためでなければダメ」と縛りをかけて集団的自衛権に踏み込むことを封じ、集団安全保障措置も「行かない」と縛りをかけた。国連で決議しても戦闘のために自衛隊を動かせなくなった――というのが私の解釈だ。
自民党タカ派などは「念願がかなった」と喜んでいるが、制約に気づいた外務省関係者の間では「米国の期待に応えられないのではないか」との声があがっている。今後、いくつもの法的・政治的な「踏み越え」をしなければ、日本は集団的自衛権を行使できない。
悪い意味での政治主導が強まるなか、今後、「こんな制約があっては思い通りに自衛隊を動かせない」と今回の閣議決定での縛りを嫌う動きがでてくる可能性がある。そうなれば、自民党と公明党のあつれきは深まるに違いない。閣議決定を守る国なのかどうか。日本としても、この点が試されることになるかもしれない。
(聞き手・藤生明)
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さとう・まさる 作家、元外務省主任分析官。「自壊する帝国」で大宅賞受賞。近著に「サバイバル宗教論」「宗教改革の物語 近代、民族、国家の起源」など。
☆これは、ひょっとすると、あの短時間のドタバタ騒ぎの中で、公明・山口、北側両氏は、安倍氏に「集団的自衛権」という言葉を使えるよう顔を立てつつ、その実、何もできない、何もさせないというスーパー・トラップをかけたのかもしれない。
☆連立の中にいながら、かつ、自民のタカ派を喜ばせながら、中から食い破りに行った可能性がある。自身らも「平和の党」の看板に傷がつき、泥をかぶる。票が減るのも目に見えている。それも覚悟で歴史的大バクチを打ったのか。
☆安倍氏は、昨日も「ホルムズ海峡での掃海活動に自衛隊は行ける」と息まいていたが、恐らく無理だ。ホルムズ海峡は、公海ではなく、オマーンという特定国の領海である。そこに他国が機雷を敷設した瞬間、それは国際法上、宣戦布告だ。つまり、その瞬間、そこは「戦場」となる。
☆「戦場には自衛隊を出さない」とは、安倍氏自身の国会答弁である。世界中が「戦場」と認定している場所へ自衛隊を出せますか、ということだ。それこそ、世界中が見ている。できないわ、これ。機雷の敷設も除去も、どちらも国際法上、「武力行使」であることに異を唱える者はいない。安倍氏は、ここで完璧な自家撞着に陥る。
☆安倍氏の「戦場」で「武力行使」を行いたいという本音だけがくっきりと姿を現わすのもおもしろい。
☆この佐藤優氏の見解は、現在の論壇では少数説だと佐藤氏ご自身が言われているが、同時に相当自信を持っていると述べている。最有力少数説として掲記しておきたい。
☆今後の国会での立法過程が注目されるが、「私の内閣の閣議決定で、歴代総理ができなかった集団的自衛権行使を私は認めた」と安倍氏がはしゃいでいるうちに、タカ派の爪は静かに抜かれていた可能性がある。
☆まだ気付いていないタカ派さんも多いのじゃないか。先のエントリーで書いた「先制攻撃」を認める政府案も準備されており、なお、予断は許されないが、ひょっとしたら、これは日本史上、超稀有なスーパー・トラップでありスーパー・トリックであり、そう簡単に解けないようにできており・・・。
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